展示情報: https://tad-toyama.jp/exhibition-event/19831
会期: 2025年11月8日 – 2026年1月25日
会場: 富山県美術館

「デザイナーの冒険展」は、20代から40代のデザイナー、アーティスト、建築家など、これからの時代を切り拓こうとする11組のクリエイターによる展覧会です。
20世紀は、素材や技術開発を軸に大量生産を実現し、社会は大きな発展を遂げました。私たちの暮らしもその恩恵を受けましたが、21世紀に入って状況は一変しました。デジタル技術の急速な進化により社会の仕組みは大きく変わり、さらに近年では資源の枯渇や環境問題への対応として、循環型社会(サーキュラーエコノミー)への移行が強く求められています。このような時代の変化のなかで、クリエイターたちはこれまで以上に多角的な視点と責任感をもって創作に向き合っています。
本展では、既存の枠にとらわれず、実験的で独創的なアプローチを通じて、創造性の可能性を拡張しようとする若きクリエイターたちの挑戦を紹介します。多様な課題に真摯に向き合い、柔軟に前向きに、楽しみながら取り組む彼らの姿勢は、これからの時代を照らすヒントに満ちています。

イグサの新たな可能性を探る
伝統素材を、アートと暮らしの中へ。
福岡県筑後地方に古くから伝わる伝統的な織物技法、掛川織は、約3cmの大きな織り目と約1cmの小さな織り目が交互に繰り返される単純組織で構成されており、緯糸に織り込まれるイグサの変化によって独特の紋様を生み出します。
本作では、掛川織の組織単位とデジタルピクセルの四角い形状に類似性を見出し、ピクセル表現で絵画のようなイグサ織を制作しました。イグサ織の美しい混色効果によって、世界で最も有名な絵画とされる「モナリザ」が浮かび上がります。イグサ織の魅力をより多くの方に伝えるため、誰もが知る名画をモチーフに選びました。作品のサイズは、江戸間の畳一畳分(約87cm×176cm)となっています。
日本の暮らしに欠かせない畳とイグサは、呼吸する自然素材であり、雨の多い日本の気候に適した優れた素材です。しかし近年のライフスタイルの変化により、畳離れが進み、国内のイグサ栽培農家はピーク時の約1/20にまで激減しました。日本のイグサ産業を未来へとつなぐためには、畳にとどまらない新しい形でイグサの魅力を提案することが重要です。そこで今回、掛川織の技法を用いてイグサを活かした新たな表現を試みました。
また、生活に取り入れやすい「ピクセル」のみの柄である「ICHIMATSU(いちまつ)」も開発しています。「ICHIMATSU」はプレイスマットやコースターなどのインテリア雑貨に展開し、より気軽にイグサを日常生活に取り込んでいただけるよう工夫しています。多様な形態に落とし込み、イグサの新しい使用用途を模索することで、インテリア雑貨としてのイグサ、そしてアートとしてのイグサの可能性を広げています。
製作協力:株式会社イケヒコ・コーポレーション
写真:荻野勤






